Clothes make the man. という英語のことわざがあります。
直訳すると「衣服が人を作る」となります。
その言葉を言い換えると、「人は見かけによる」と言う意味になり、日本のことわざでいうところの「馬子にも衣装」と同じ意味になります。
英語のことわざはシェイクスピアの『ハムレット』第三場に出てくる金言からきていると言います。
その金言とは・・・
The apparel oft proclaims the man. 「服装は往々にしてその男の正体を暴露するものだ。」です。
日本のことわざの「馬子にも衣装」の「馬子」とは、馬に人や荷物を乗せて運ぶことを仕事としている人たちのことで、「どんな人間でも身なりを整えれば立派に見える」という意味になります。
意味するところは同じですが、Clothes make the man. 「衣服が人を作る」の方が服装の持つ潜在能力を言い表している言葉で、服装によって考え方や行動や生き方さえも変えてしまうモノだと言うことを示唆している言葉ではないかと思います。
また、ナポレオンの言葉に「人はその制服通りの人間になる」という名言があります。
それは制服を着ることで「自負を持って役割を果たす」ということで、制服が意味する役割を果たすよう「使命感を持って行動する期待された人」になるということではないかと思います。
制服は仕事をする際の衣服であるわけですが、制服は着る人に与える影響のみならず、その制服を見ている人の印象にも影響を与えます。
例えば可愛らしい制服を見れば「優しそうな人」に感じると思いますし、スポーティーな制服だと活発でテキパキと仕事をする印象を与えますし、シックで落ち着いた制服だと大人の雰囲気のするラグジュアリーな印象を与えたりします。
「衣服が人を作る」そして「衣服によって印象が変わる」ということになりますので、お仕事をする際の制服選びは、「どんな人になるか」「どんな印象を与えるか」をイメージしていく必要があると思います。
ユニフォーム選びのポイントは、どんな雰囲気のお店や会社でお仕事をされていて、その雰囲気の中でスタッフやお客様がどのようにコミュニケーションしているかをイメージして、その雰囲気に合った装いを選んでいただくのがベストです。
ただ漠然とユニフォームを考えようとすると個人の趣向に偏ってしまうので、選定する指標が必要になってきます。
その一つの指標として、「カジュアル」と「フォーマル」のバランスを考えてカジュアル寄りなのかフォーマル寄りなのかをイメージして、カジュアルとフォーマルを程よくミックスしてきれいめにまとめていくのがお勧めです。
また、もう一つの指標として「クール」と「ホット」を考えていくのも良いと思います。
「彼ってカッコいいね」を英語で言うとhe is cool となりますが、もう一つの言い方としてhe is hotという場合もあります。
coolもhotもどちらも同じ「カッコいい」という意味となりますが、hotの方には魅力的や情熱的といった意味合いが含まれていますので「クール」寄りか「ホット」寄りかで『カッコよさ』を見ていくのも良いと思います。
そうしたイメージをユニフォームに落とし込んでいく場合に大切な要素として「カラー」・「シルエット」・「デザイン」があります。
「カラー」を選ぶ際に気をつけたいポイントは、色の持つ意味やイメージがありますのでそれを参考にしてカラーを選んでいくのが良いと思います。
ただしカラーを多く使いすぎないことで、カラーを多く使えば使うほどカジュアル感が増していきますが、多くても3色までに抑えるようにするとまとまりが良いと思います。
失敗しないようにするにはモノトーンをベースにして一色プラスするとまとまりやすく品のあるコーディネートになります。
「シルエット」で気をつけたいポイントはサイズ感で体に合ったサイズを選ばないと細身のデザインでも服に着られている印象になってやぼったく見えてしまいますのでジャストサイズを選ぶようにしてください。
また、「神は細部に宿る」とも言われますが、「デザイン」で気をつけたいのは先端部分で、袖や裾や首まわりの先端部分は視線が集中するので重要なポイントとなります。
袖や裾の長さが長すぎたり短すぎたりするとせっかくのデザインが台無しになってしまいますし、ネックラインの空き具合でも与える印象が違ったり、フォーマル寄りにするなら衿つきのデザインにしたり、衿周りにボリュームのあるデザインを持ってくると小顔効果を発揮してスマートに見えたりもします。
上下コーディネートする場合にも注意が必要なポイントがあります。
コーディネートはトップス(上着)に注目が集まりそうですが、「ボトムスが全体のスタイルを左右する」と言われています。
ボトムスは印象を整える役割があり、ボトムスをフィット感のあるスリムなシルエットにしておくとトップスがゆったりしたシルエットでもYラインのきれいめなシルエットを作ることができます。
もちろん上下スリムなシルエットにすればスマートなIラインのきれいめシルエットになります。
スリムなボトムスの場合にも注意が必要なのはパンツの裾にクッション(たわみ)を多く作ってしまうとカジュアルな要素が出てきれいめな印象が薄れてしまうので軽くたわみが出るくらいのハーフクッションくらいがお勧めです。
「カラー」・「シルエット」・「デザイン」の要素をイメージしつつ「カジュアル」と「フォーマル」の指標と「クール」と「ホット」の指標を組み込んだマトリックスを使って考えると、お店や会社の雰囲気にピッタリのオシャレに着こなせるユニフォーム選びができますので参考にしてください。