白衣とは
『白衣の天使』と言われるように、白衣と言えば医療関係の白色の衣服がもっともポピュラーなものですが、その他に、洋食屋で着られているコックコートや寿司屋で着られている衿なしコートやはんてんなども白衣のひとつです。もともと白衣は、衛生環境を守る為に衣類のヨゴレが分かり易いようにあえて白色のものを着たのが始まりであり、衛生衣料の総称として『白衣』と呼ばれるのが一般的になっています。今では白に限らず色々な色使いの白衣が登場していますが、見た目の清潔感や衛生環境に配慮して、白色の白衣を採用しているところも多くあります。
職場環境に合った素材選び
白衣に使用されている素材には大きく分けて綿100%のものと、ポリエステル(化学繊維)100%のもの、綿とポリエステルを色々な割合で組み合せた混紡のものがあります。生地の厚さや混紡の比率により若干異なりますが、代表的な特性としては、次のようになります。
綿100%
直火など、火力の強い厨房などで着用する衣服に使われることが多く、特徴としては、汗をよく吸い通気性に優れていることです。また、火がついてもポリエステルほど燃えず、火傷の度合いも少なくすむ場合があります。ただし、洗濯による色落ちや、しわになったり縮みが出易い特性もあります。
ポリエステル100%
ホールや接客中心の、火を使う環境以外の場所で着用する衣服に使われることが多く、特徴としては、綿に比べて通気性や吸汗性は良くありませんが、洗濯による色落ちや縮みが少なく、濡れても早く乾く特性があります。また、ノーアイロンでも問題なく使用できるものが多いという特性もあります。ただし、いったん火がつくと一気に火が燃え広がり、大火傷を負う危険性があります。
ポリエステル・綿混
綿とポリエステルの良いところを組み合わせた素材です。特性は、綿とポリエステルの比率によっても異なってきますが、おおよそ半分ほどの比率のものが多く、どちらかと言えばポリエステルの特性が多く出ます。最新の素材では、生地の織り方に工夫をして吸汗性や速乾性をさらに強化したものや、肌触りを良くしたものなどがあります。
コックコートの素材はみんな同じ?
コックコートに使われている素材は、綿100%の『カツラギ』という、ジーンズに使われているデニムという生地に似た素材が一般的に使われており、大まかに厚地、中厚、薄地の3種類の厚さの生地が使われています。この3種類の生地は、厚地と中厚は主にオールシーズン、薄地は夏物に使用されることが多いようです。(中厚は中国製のものが比較的多い。)
綿素材のほかにもシャツ風コックコートなどには、ポリエステル混の素材を使ったものがありますが、直火を使う職場ではなく、サービスフロア-などで着用されることが多いようです。
綿は燃える?
一般的なポリエステル素材(ポリエステル混も含む)は綿素材に比べて比較的燃え易く、一旦燃え始めると黒いすすとタールのようなものを出しながら一気に燃え上がり、大火傷を負う可能性があります。綿も燃えますが、ゆっくりと燃えるくらいで、すばやく消火するか脱ぎ捨てれば少しの火傷くらいですむ場合もあります。(その為コックコートは前合わせが二重のW前が基本の形になっています。また、片手で素早く脱着できるようにSNT40000に付いているような小さい釦を使っているものもあります。)
火がついても燃えにくいように防火加工した素材もありますが、通気性や吸汗性が損なわれてしまったり、高価になるなど、実用的ではない場合があります。安価な防火効果をあげるには糸やボタンなどの付属を含めた素材で、綿などを多用することが効果的です。
袖の形で着心地は変わるのか?
<2枚袖>
人間の自然な姿勢は、腕が前方に振っているので、着用したときに袖に余分なシワやつっぱり感が出難いように袖を2分割し腕に沿わせたものが2枚袖と呼ばれています。スーツなどの上級衣料に多く用いられている袖型です。
<1枚袖>
2枚袖に比べ比較的ゆったりとした構造をしているものが多いですが、着用時に、シワやつっぱり感が出やすいのが特徴です。白衣では縫製コストが安い分、1枚袖の型を使っているものが多いようです。
立体裁断とは?
平面のものに巻きつけるローブような形ではなく、立体的な形に合わせて切り貼りしていく裁断の総称で、服はほとんど立体裁断といってもいいと言えます。
千月は、立体裁断でも千月特有のやり方をしています。(作業服では珍しい前肩縫製、袖の前振り角度、ゆったりし過ぎないでフィットしすぎないバランス等)ただし、服以外の前掛エプロンなどの小物は平面裁断が一般的です。(千月は立体裁断)
前肩縫製とは?
肩の曲線に沿わせた縫製方法で、肩への当たりが少なく、動きが楽な分だけ長時間着用する程その違いが良く分かります。一般的には厚みのある素材で、スーツのようなゆったりし過ぎない形の衣類に多く使われています。(薄い生地やゆったりしたシルエットのデザインのものでは、肩への当たりもあまり気にならない為、シャツなどは余りこの縫製方法は用いないようです。)
服のゆとり
服はゆったりしているほど着易いように思えますが、ゆったりし過ぎると、余分な生地が体にまとわりついて逆に動きづらくなってしまいます。逆に、小さすぎると動きを制限してしまい、窮屈感を感じてしまいます。
服に使用する素材にもよりますが、適度なゆとりが一番動き易いというわけです。
コックコートのカフスの由来
忙しい厨房で効率的に作業するために、袖を鍋つかみ布の代わりにしたことが始まりであり、それがデザインとして残されているようです。よって、本来はカフスを折り曲げた状態が本当の袖丈になります。
コックコートの紐釦(ひもぼたん)
一般的にメーカーなどで使われている紐釦は、クリーニング時の高圧プレスで潰れてしまい、元の大きさに比べて1.5倍から2倍になってしまうことが多いですが、千月の紐釦は高圧プレスでも潰れづらい特殊な編み方をしてますので、潰れることが他のものに比べて少ない造りになっています。
ネッカチーフの役割
ネッカチーフは着用したときに見た目の美しさ以外にも、階級を表わしたり、汗を拭いたりすることもあります。巻き方も、従来のネクタイ風以外にも、ウェスタン風、リボン風などネッカチーフの巻き方も個性化しています。
付属のちょっとしたこだわり
白衣は衣類の中でも一番過酷な洗い方をされるとよく言われますが、クリーニング店で一番よく壊れる部分は生地の破れより、釦の割れが多いそうです。千月の釦はSNTT312や54500に使っている釦のように、特注でボタンの厚みを2~3割り増しにして割れにくくしています。
白色の白衣を漂白剤を使って洗濯すると変色するって本当?
一般的な衣料用漂白剤や漂白剤入り洗剤を適量使用する分には、白色の白衣が変色することはありません。ただし、高温の洗濯水の使用や長時間のつけ置き、基準を超える高濃度の洗剤の使用、濯ぎ不足などは、生地を傷めるだけでなく、変色する場合もあります。また、衣料用の洗剤以外の食器用の洗剤(キッチンハイター)などを使用した場合も変色する場合があります。
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