千月(SENTSUKI)物語
昭和の初め頃は物が少ない時代で、一般庶民にとって紳士服は高価なものであり、生地が傷んでもなかなか買い換えることができない時代でした。
そんな時代背景の中、『ただモノを作るのでなく、使う人のために何ができるのか』を考えると、「大切に着ていた紳士服を少しでも長く、愛着を持って着ていただきたい」との思いから、紳士服の生地を裏返しにして仕立て直しをする、今で言う"紳士服のリフォームメーカー"として昭和2年にマツヤマは創業します。
紳士服の仕立て直しをしていくうちに『紳士服作りの技術を生活に密着したモノ作りに活かすことができないか』と考えていたところ、飲食店の方から「前掛を作ってくれないか」というお話をいただいたのをきっかけに生活に密着したモノ作りが始まりました。
当時は、調理をするための専用の衣料がまだ確立されておらず、今の時代からすると決して衛生状態が良いとはいえない環境であった時代背景の中で、『衛生面を考えた調理専用の仕事着として、調理の動作がしやすい衛生白衣を提供したい』という思いを抱いていました。
そして試行錯誤を重ねていく中で、紳士服作りのノウハウを活かした"バーコート白衣"を製造し、それが"千月(SENTSUKI)ブランド"の始まりとなりました。
千月(SENTSUKI)の名前の由来は、創業者「松山千三」の"千"の字と、商運を祈る三日月の"月"とをあわせた造語で、その背景には『使う人のために何ができるかを考えていかないと商売は成功しない』という創業当時からの思いが込められています。
『SENTSUKI』はプロの料理人の方が着用する、いわゆる「業務用の白衣」ですので、着易さ動き易さと合わせて耐久性にもこだわって作られています。
毎日の洗濯にも耐えられる生地を使用するのはもちろんのこと、細部にいたっては、破れにくいように補強布を当てたり、プレスに十分耐えられる釦を採用したりと、愛着を持って着ていただけるモノ作りをしてきました。
時代と共にお仕事をされる環境は変わってきていますが、昨今では「美味しい料理を作り、美味しく食べていただく」だけではなく、「料理」「空間」「人」など"食"に関わる全ての環境を考えた「悦びのある"食"の演出」が重要視されるようになってきました。
そうした時代の流れの中で、"白衣"の役割も変わってきて、オープンキッチンなどに代表されるように"お客様の視線を意識した白衣"の要素が求められるようになり、その中で、『使う人のために何ができるのか』を考えた場合に、着易さ・動き易さ・耐久性といった機能性に加えて、審美性を合わせ持った白衣が求められているのではないかと考えました。
そこで、白衣にカジュアルな感覚を取り入れながら、ジャケットのようにやや細身のシルエットを実現した『ジャケットシリーズ』を開発し、シェフの皆様にこだわりを持って着ていただきたい厳選素材を使用した個性あるデザインの『シェフシリーズ』と合わせて、お客様が悦びを感じる着用シーンをイメージしたご提案いたしました。
また、白衣の最高峰を目指した最上級モデルとして、『レセプションコート』を開発し、着用される方のお好みに合わせた商品をパターンオーダーで提供する取り組みを行い、創業当時からの紳士服のモノ作りのノウハウを更に磨きをかけながら、白衣の新たな使い方をご提案してきました。
『SENTSUKI』はこれからも『使う人のために何ができるのか』を考えたモノ作りを通して、『お客様に悦んでいただけるワクワクするライフスタイル』を提供し続けていくよう努めてまいります。
今後とも『SENTSUKI』商品をご愛顧いただきますようよろしくお願いを申し上げます。